見てた人なら誰しもが、「これって劇場版やるやつやん!」と思ったんじゃないでしょうか?
連続ドラマというのは通常、そのクール全体で主題とした問題に関しては相応の収束が無いと駄目です。(断言)
もちろん、しっかりした原作がある場合とか、既に続編が決定してる場合は別ですけどね。
なので、連ドラの主題部分に関してはしっかり回収しないと視聴者にストレスを与えてしまう結果になるのですが、一方で何もかもを完全に回収し切ったり、主要な登場人物を早々に退場させてしまうと、今度は続編や劇場版にはその勢いのまま繋げることが出来なくなるので、ついつい「~ゼロ」といった形で前日譚なんかを作ってしまいがちになります。
あるいは、これもよくあるパターンですが、「スピンオフ」という形で、登場人物の内の主役以外の誰かに焦点をあてた外伝を劇場版にする、という手法もあり得ますけどもね。
そういう意味でも、最終回をどうするのか?にはかなり興味がありました。
VIVANTに関して言えば、テロ組織テントによる日本を狙ったテロの件と、主人公・乃木憂助の生い立ちや父・ノゴーン・ベキ=乃木卓の半生、バルカ共和国での活動の件は最低限解決しないと駄目です。
で、今回は、別班の存在が明らかになり、主人公乃木憂助が別班のエース的エージェントだったと判明。
野崎の属する公安の立ち位置や組織事情も判明。
国際テロ組織テントの首謀者ベキ=乃木卓だと判り、テントの目標が孤児達の保護と内乱で荒廃したバルカ共和国の政治経済の安定だと判明しました、と。
これで、このクールに関しては一先ず一件落着した訳ですが、それとは別に未解明の点が幾つか残った事で、またその次のストーリーが描かれる余地を残しましたね。、
それは大勢の方々が検証したり、予想したりされてるのでそれは良いとして、
国際テロ組織テントの首謀者ノゴーン・ベキこと乃木卓とその妻・明美、そして主人公の乃木憂助ら家族を見殺しにした つまり、この物語の根本原因を作った張本人である、内閣官房副長官で元公安部外事課の上原史郎(橋爪功)という、最重要人物が、連続ドラマの最後の最後で初登場した点がちょっとねw
余計な事だとは思いますが、最重要人物としてキャスティングされてる人を、最終話で初めて登場させるのは、ミステリーファンとしては、ちょっとどうかとは思いましたね。
一応、その存在=ベキ(というか乃木家)を異郷の地で見捨てた人物の存在や、ベキが抱くその人物への恨みについてはちゃんと語られてきた訳ですので、その人物が公安関係者の中に存在することはずっと示唆されてました。
が、今回このドラマでは、その人物は最終回まで一切登場しなかった訳でして、画面に登場してない人物を推理することは視聴者には不可能ですので、そういう演出は昔からミステリーファンにはあまり好かれない訳です。
今回の、このVIVANTというドラマは、視聴者を巻き込んでの推理合戦という演出を意図して行った訳ですから、出来ればそこら辺はもう少し配慮して欲しかった様に思いますね。
別班の櫻井司令や、丸菱の長野専務という、どちらもややこしい過去を抱えた怪しい人物を登場させて、視聴者の目をそちらに向けさせたのは良かったですけどね。
逆に言えば、この2人に関しても、謎が明かされないまま終わったので、この辺も劇場版なり続編なりで重要な役割が与えられたり、その半生が描かれる可能性はあるのでしょう。
そういう訳で、第一話を見始めてしばらく経った時点で感じた否定的な感想とは正反対で、近年稀にみる面白い連続ドラマでした、というお話でした。